こんばんは。まーぼなすです。
自宅でインターネットのニュースを見ていたら、今年8月24日に大阪高裁で非嫡出子に対する相続差別の規定は法の下の平等において違憲であるという判決が出されていたという記事がありました。
この判決。ちょっと気になる判決なのであえてブログ記事に書くことにしました。
まず、そもそも非嫡出子とは何かという事に触れておきたいと思いますが、シンプルに述べるならば未婚の男女の間にできた子供さんの事です。
そして嫡出子とはその逆で、通常の婚姻関係のある男女の間にできた子供さんです。
ここでは親子関係不存在確認などの訴えに登場するような推定されない(される)嫡出子については省かせてもらいます。(複雑になるので)
たいていの場合、相続をする際は嫡出子には当然に相続権があります。
例えば被相続人(例として故人)に配偶者と嫡出子である子供が1人いた場合、配偶者が2分の1、子供が2分の1という形で遺産を分け合う事になります。
仮にこのケースで、子供が2人いる場合は、配偶者が変わらず2分の1、子供Aが4分の1、子供Bが4分の1という形です。
子供達は分け与えられた2分の1の中から、さらにその人数に応じて等分されるという考え方です。
しかし、ここであえて昼ドラのような話を作ります。
故人Aさんは奥さん(Bさん)との間に子供2(CさんとDさん)人がいました。
その故人Aさんには過去に結婚前に付き合っていた女性との間に子供(Eさん)がいたとします。
故人はその子供Eさんについて認知をしているという設定です。
(認知をしていない場合は相続権が発生しません)
前述の通り、未婚の子は非嫡出子という扱いになりますが、民法900条4項では非嫡出子の相続分は、嫡出子の半分とする規定があります。
この場合、Cさん、Dさん、そして非嫡出子であるEさんは確かにAさんという同じ父親を持っている事には変わりないのですが、この法律を適用するとどのようになるのか、実際に数字を当てはめてみる事にしましょう。
まずAさんが残した財産は全部で5000万円とします。
奥さんであるBさんには2分の1である2500万円です。
ここで残りの2500万円(1/2)を3人の子供達で分け合います。
嫡出子であるCさんは1000万円(2/10)
嫡出子であるDさんも1000万円(2/10)
非嫡出子であるEさんは500万円(1/10)
という事になります。
嫡出子に比べて非嫡出子がその半分になるというのは上の数字でイメージがついたと思いますが、同じ父親を持っていながら何故このような差別が生まれてしまうのでしょう。
それはそもそも民法が一夫一婦制の形式婚主義という姿勢に立ち、法律上の手続を経てその婚姻関係が成り立つ(法律婚主義)としているからと言えます。
これの逆がいわゆる事実婚(内縁)と呼ばれるものです。
法律上の正当な手続きを経て婚姻関係にあり、その間に生まれた子供と、法律上の手続きを踏まない関係から生まれてきた子供との間には何らかの区別が生じてしまっても、やむを得ないというのが、悲しいかな現在の考え方です。
また法律上の婚姻関係から生まれた嫡出子の立場を法律上保護するというのは当然ですが、同じ人間である非嫡出子の立場をまったく保障しないとしてしまうのは憲法上の矛盾が生じ、人道的にも酷すぎるという考え方から、せめて嫡出子の半分は相続させようというものとして、まーぼなすは認識しています。
(厳密に言えば違和感あると思いますがその辺はお許しを。。。)
しかし、法理論では確かに正論ではあると思いますが、現代社会においてこの考え方のすべてが正しいとは思っていません。
昔と違い、夫婦の離婚率も上がっていますし、ライフスタイルが多様化し、あえて結婚はしないけど子供は欲しいなどという内縁関係にある方々も世の中には多くいます。
そういった現代人に合わせたルールを築くという議論も必要ではないかとは思ったりします。
ただその反面、個人的には昔からあった一つの大きな柱が崩壊に向かっているのでは?とも思えてなりません。そういう意味では何事も新しい考え方として事実に合わせていくような思想は、ある意味怖いとも思っていたりします。
しかしながら、ここまでは親の勝手な言い分です。
一番考えなければならない事は『子供は親を選べない』という事です。
非嫡出子として生きていく事を望んで生まれてくる子供はいません。
我々人の親となった世代が一番モラルを正さなければならないのでしょうが、残念なことにこれに逆行するかのように、少なくともまーぼなすの周囲ではこういった子供達が増え続けています。
実態を見れば明らかですが多くの非嫡出子は、その複雑な家庭環境を見つめながら嫡出子とは違った苦労を背負って育ってきています。
現代社会においてはそういった子供が実際に増えてきているという事も、そろそろ真剣に考えていかねばならない時期にきていると思います。
この手の裁判では平成7年、最高裁大法廷での憲法判断で現在の民法上の規定は合憲であるという判例が出ていますが、15人中5人の裁判官が反対意見でした。
この点から見ても少しずつ社会の見方が変わってきているのではないかと思います。
今回の高裁判決は違憲として非嫡出子にも嫡出子と同等の相続分を認めましたが、最高裁で争われる事は無かったようです。
もし仮に特別抗告がなされていたとしたら、過去の判例から見て合憲判断とされてたのでは?という見方が多いようです。
立法府である国会ではこのところ、震災復興や景気対策などについての論議がメインでなされていますが、切迫しているそういった問題は早く解決し、こういった法律にもメスを入れ議論を行って頂きたいものです。
ただし、、、この件に限らず、例えば社会保障制度うんぬんに関する特別法などなど、いろいろと作ってくれるのは良いとして、いちいち勉強し直さなければいけないのが激しく苦痛です(泣)
本日これまで!